ロードバイクのフレームにはクロモリが使われているタイプもあります。カーボンやアルミが全盛ですがあらためてクロモリロードバイクはどんなものなのか?
現在もクロムモリブデン鋼、通称クロモリで作られたロードバイクフレームは、多くの愛好者によって使用されています。
今回は、カーボンやアルミのフレームにはない、クロモリの良さについて紹介していきましょう。
この記事に書いてあること
クロモリロードの魅力
クロモリロードの魅力は次の5つに集約されると言って良いでしょう。
- 美しい細身のフレーム
- しなやかで弾性に優れる
- ホリゾンタルフレーム
- 耐久性
- 低価格にできる
これらについて解説します。
美しい細身のフレーム
クロモリロードの魅力の一つに美しい細身のフレームが挙げられます。
鋼の強度を持つクロモリは、細いパイプであっても自転車の強度を十分に保てることによって、その独特のシェイプを持っているのです。
また、パイプ一つひとつに職人の手が施されており、美しい形状をしているのも魅力といえるでしょう。
しなやかで弾性にすぐれる
レースシーンでは、剛性と呼ばれる、いわゆるカチカチのフレームが用いられるのが常識となっています。
これに対比するのがクロモリのフレーム、しなやかで優しく柔らかさすら感じます。一見ネガティブな特徴にとらえられがちですが、これは疲れにくい証拠です。
たしかに剛性の高いフレームは加速感も良く、一気に高速域で走行することができます。
しかし、その分ライダーへの負担も大きく、体力のない人物が乗ると、すぐに疲れてしまうのです。
一方、クロモリロードは、しなやかで後ろから誰かが押してくれるような走行感が得られます。これによって、疲れにくく、より遠くの場所までいざなってくれることでしょう。
ホリゾンタルフレーム
ホリゾンタルとは、「水平」を意味する言葉です。
クロモリロードは、ホリゾンタルフレームと呼ばれるように水平のトップチューブが特徴のシルエットをしています。
アルミやカーボンのフレームが、スローピングといわれる斜めのトップチューブになっている昨今、このシェイプは独特の魅力を放ちます。
耐久性
クロモリは、冒頭でもお話しした通りクロムモリブデン鋼といわれる鋼の合金でできています。
そのため、当然耐久性も高く、手入れをすれば何十年でも乗れるといわれています。
ここまで耐久性が高いのは、チタンなど一部のフレームだけです。
低価格にできる
アルミやカーボンのように加工しにくかったり、製造場所が大規模になることなく、町の工場でも作れるのがクロモリロードです。
そのため、設備投資が少なく、クロムモリブデン鋼も安い(金属としては高価)ため、低価格で販売されています。
クロモリフレーム・パイプメーカー
先ほどから触れてきたようにクロモリロードは、パイプを組み合わせて製造されています。
このパイプにも多くの有名メーカーが存在し、国内外には次に紹介する4つのブランドが有名です。
コロンバス
コロンバスはイタリアのチューブメーカーです。
100年以上の歴史を持ち、ロードバイク以外にもオートバイやスポーツカーなどのフレームに使われるチューブも製造しています。
カイセイ
日本にある自転車用のパイプメーカーです。
福島県須賀川市に拠点を持つ1993年創業の企業でもあります。
比較的若い企業ですが、源流は1944年に創業した石渡製作所で、同社の技術をそのまま継承している企業です。
レイノルズ
イギリスのパイプメーカーです。
1899年創業の老舗で、かつてはツールドフランスで多くのクロモリロードが同社のパイプを使用し優勝を飾ってきました。
自転車のパイプを中心に現在も多くのブランドチューブを製造しています。
タンゲ
元々は日本のメーカーでしたが、現在は台湾のブランドになっています。
1986年創業の丹下鉄工所をルーツに持ち、国内外で数多くのレースバイクのためのチューブを製造してきました。
クロモリフレームの溶接
クロモリフレーム溶接の技術について解説していきましょう。
クロモリのチューブは主に3つの技術が存在し、いずれもメリットがあります。
ラグ溶接
ラグという金具を使ってパイプ同士を接合する技術です。主にロウ付けによってラグとパイプが接合されています。
ラグの形状によって接合部にかかる応力を分散させることが可能で、工房やメーカーごとに様々なラグが開発されています。
ラグの形状が美しく、クラシカルな雰囲気があり、装飾的な役割も果たしているため、ラグにこだわる方も少なくありません。
ラグレス溶接
パイプとパイプを直接つなぐ方法で、ラグを用いない技術です。ロウと呼ばれる接着するための金属として銀または真鍮を用いています。
メリットはラグがない分、軽量にできることや溶接のための加熱が少なくパイプに与えるダメージが少ない点が挙げられます。
TIG溶接
広い意味でラグレス溶接の一種です。こちらは、ロウ自体を使わず直接クロモリ同士を溶接してしまう技術です。
接合した後がビードと呼ばれる溶けた痕跡として残っています。
アルミやチタンなどのフレームの接合にも利用されている技術です。
熱がかかる面積が狭いことでパイプへの負担が少ないことや耐久性の面で優れています。
おすすめクロモリロードバイク5車種
おすすめのクロモリロードバイクをチェックしてみましょう。
アルミやカーボンフレームロードバイクに比べ、車種は少なめですが今でもしっかりと作られています。クロモリフレームの独特のフォルムや細身フレームの美しさをチェックしてみてください。
フジ ロードバイク バラッド オメガ
出典:Ysroad
- フジ ロードバイク バラッド オメガ:118,800円
- Main frame:Fuji Elios 2 custom butted CrMo w/ outer butted seat tube
- Fork:Fuji 1" Custom Triple Butted CrMo, Lugged Crown
- Crankset:Sugino XD2000D, 50/34T
- Rear derailleur:Simano SORA 9-Speed
- Weight:11.5kg
GIOS ( ジオス ) FENICE ジオスブルー 500
出典:Ysroad
- GIOS ( ジオス ) FENICE ジオスブルー 500:98,780円
- フレーム:4130 クロモリ SPECIAL TUBING FOR GIOS
- サイズ:450/480/500/520/540mm(C-T)
- 重量:10.2Kg
ラレー カールトン-B
出典:Ysroad
- ラレー カールトン-B:101,200円
- FRAME FULL CR-MO MID-SIZE D.B. TIG WELDING
- FRONT FORK CR-MO UNI-BLADES INTEGRATED DESIGN
- SHIMANO CLARIS 50-34T
- SHIMANO CLARIS 8 x 2 SPEED
- 11.5kg
バッソ ヴァイパー クラリス
出典:Ysroad
- バッソ ヴァイパー クラリス:115,500円
- BASSO VIPER FRAME KIT(クロモリ)
- SHIMANO FC-R2000 50-34T
- SHIMANO CS-HG50-8 11-32T
- 10.0Kg
フジ バラッド オメガ
出典:Ysroad
- フジ バラッド オメガ:118,800円
- Main frame:Fuji Elios 2 custom butted CrMo w/ outer butted seat tube
- Fork:Fuji 1" Custom Triple Butted CrMo, Lugged Crown
- Sugino XD2000D, 50/34T
- Simano SORA 9-Speed
- Weight:11.5kg
まとめ
クロモリフレームのロードバイクは、独特の質感と美しさ、疲れやすさから、レースの第一線を退いた現在でも多くの愛好者がいます。
カーボンバイクに乗り慣れた方さえ、クロモリの魅力にひかれて乗り換えてしまう方もいるほどです。
そんなクロモリロードに乗ってみてはいかがでしょうか。